観音寺

8月3日〜4日にかけて香川県観音寺市にて瀬戸内国際芸術祭2013関連事業のアートプログラム「うららおとくち」に参加してきました。
ひとつはノベルサウンズのイベント「Novel Sounds Gate」でのライブ、そしてもう一つは朝日湯ギャラリーでの写真の展示です。

Novel Sounds Gateは「音楽をきっかけに、市と人の動線を導くアート × 地域活性のプロジェクト」。
観音寺の様々なスポットをテーマに全国から様々なアーティストが作曲をし、世界へその音楽を発信していくプロジェクトです。
その楽曲披露公演として観音寺市のかまぼこ音楽堂(昭和4年に建てられた山地蒲鉾さんの赤煉瓦倉庫)でライブを行いました。
Flower Triangleはアルバムやライブでも度々参加してもらっているno;chesの江口智恵さんをボーカリストに迎えて「一夜庵・山崎宗鑑」をテーマに作曲しました。

室町時代に生き”俳諧の祖”と言われる山崎宗鑑が、亡くなるまでの26年間を観音寺市の一夜庵で過ごし、その一夜庵は日本最古の俳跡と言われています。(と同時に香川県最古の茶室でもあります)
山崎宗鑑はそれまで貴族などの間で流行していた「連歌」の伝統を重んじる慣習や格式ばった様式美に異を唱え、より身近な物事を、より自由な形式でおもしろ可笑しく”庶民的な”歌にしようとしました。
連歌をやっていた人達はそんな山崎宗鑑を批判しますが、逆に山崎宗鑑は彼らのことを笑って歌に詠んだりしていたそうです。
既存のジャンルにとらわれることなく、批判をものともせず新しいものを模索していくその山崎宗鑑の姿勢にとても共感します。
歌の世界に限らず、音楽や絵画、アートの分野において、いつの時代もこういう構図は変わりなく、何百年も昔からおそらく今後も繰り返しながら新しいカルチャーが生まれていくのだと思います。

そんな山崎宗鑑が読んだ俳句
「月に柄をさしたらばよき団扇(うちわ)かな」(”あの立派な満月に棒を刺したらいいうちわになるだろうな”という意味)
を頭にイメージしながら一夜庵をテーマに曲を作りました。

このコンピレーションアルバムは10/5、iTunesで配信予定です。楽しみにしていてください。

Novel Sounds Gate [ノベルサウンズゲート〜おとくち〜]

一夜庵
一夜庵


そして朝日湯ギャラリー(大正8年に建てられた銭湯で現在は銭湯としては廃業)では浴室の壁面を使い写真の展示をさせてもらいました。
事前に何回も観音寺市に通い撮影し、また8月3〜4日にかけても撮影を行いながら壁面に写真を追加していきました。
銭湯という近所の人たちが日常通うコミュニケーションの場であること、自分はよそからの訪問者であること、そして現在芸術祭の場としてさらに訪問者が行き交う町であること、
これらをテーマとして、人々の写真を織り交ぜながら観音寺の町を僕なりの視点でまとめました。

朝日湯では既に他の方々の展示やインスタレーションも行われている事から、下見はもちろんしていますが事前に展示用のセレクトもプランも決めずに会場入りし、実際に様々な作品で彩られた会場に身を置きながら展示プランを練り、写真をセレクトし色の調整をしてプリント、一晩掛けて自分が担当する壁面の展示作業を行いました。
今回このような趣旨であるため初めてデジタルでの作品制作でした。

昔この銭湯に通っていたという地元の方も観に来られていて、銭湯としては廃業してもこの場所がこれからも古い記憶と共に新たな体験の共有の場として機能していけばいいなと思いました。

朝日湯ギャラリーは9/1までの土日、13時〜21時にオープンしています。
お近くに寄られた際は是非覗いてみて下さい。

朝日湯ギャラリー
うららおとくち
crossing

朝日湯

おとくちのスタッフの方々、ノベルサウンズのスタッフに出演者、関係者の皆さんお疲れ様でした&ありがとうございました!